下肢静脈瘤の診断、治療について
下肢静脈瘤の診断、治療について
下肢静脈瘤は足の表面の静脈の逆流防止弁の不全のため起こる病気です。
当院では、診察、エコー検査で治療方法を決定し、手術の必要な方をご紹介しています。
術後の再発についても、ご相談に対応します。
Q&A
1. 私の静脈瘤は手術が必要?
下肢静脈瘤は良性の病気です。
皮膚炎を合併しているような場合以外は、経過観察が可能です。
実際に、静脈瘤を疑ってから10年以上たってから受診される方が半分以上です。
ただ、なかなか治らない皮膚炎があったり、皮膚が黒っぽく変色してきた方は、さらに悪化
することが多いので早期の受診、手術をお勧めします。
皮膚炎のない方は、症状や希望、血液の逆流の状況で手術が決定されます。
2.手術はどんなふうにするの?
静脈瘤の治療は、手術、注射による硬化療法、弾性ストッキング等があります。
手術は、以前からのストリッピングに変わり、血管内のレーザーや高周波焼灼術が主流です。
血管内の手術は局所麻酔で、伏在静脈に入れたカテーテルで伏在静脈を焼き潰します。
同時に、瘤の目立つ方はその部分を2-5mmの小切開で瘤を切除します。
時間は、静脈瘤の程度によりますが30-40分のことが多いです。
紹介先の病院では原則として1泊の入院としています。
3.手術の後はどうなりますか?
当日は圧迫包帯、翌日からストッキングを使用して、早期からの歩行をお薦めします。
自宅では、シャワーと傷の処置をしていただき、7日後と1ヶ月後の受診を原則としています。
お仕事は、種類にもよりますが、退院翌日から働いても問題のない方もいます。
4.手術の合併症が心配なんですが...
焼灼した伏在静脈からの血栓が伸びる合併症が重症のもので、入院が伸びることがあります。
この血栓が飛んで、塞栓症を起こすことはめったにありません。
念のため追加の薬を飲んでいただくことはあります。このような方は多くて100人に1人です。
他の合併症としては、皮下出血、局所の血栓、皮膚の異常知覚等ですが、いずれも数週から
数ヶ月でほとんど治ります。
5.血管は浮き出てないんですけど、足が怠くて、むくみがひどいんですが...
静脈が瘤になっていないけれど、弁不全があって静脈瘤と診断され手術をする方もいます。
外来での痛くないドップラーエコー検査で、比較的容易に分かります。
浮腫の原因は、静脈瘤以外にも甲状腺、心臓、腎臓、がん、肝臓の病気などでも起こるため、
これらの病気の発見につながることもあります。
6.静脈瘤があると、全身の血栓症になりやすいですか?
静脈瘤に血栓ができて、血栓性静脈炎という痛い病気になることがあります。
しかし、静脈瘤の血栓が全身に影響することは、まれと言われています。
血栓が問題になるのは、下肢の深部静脈血栓症で、むくみや痛みを伴います。
深部静脈血栓症もエコー検査で診断されますが、入院が必要になることが多いです。
7.手術以外の治療は効果がありますか?
ストッキングは静脈瘤の進行を遅くしたり、むくみやだるさを軽くする効果があります。
硬化療法は主に細い伏在静脈以外の静脈瘤では静脈瘤を直す効果があります。
また運動をして、下肢の筋肉が丈夫になると浮腫を軽くしたり、痛みが軽くなります。
8.手術をしないとどうなりますか?
上でも触れましたが、静脈瘤が致命的になることは非常にまれです。
一方、放置すると年単位で進行し、治りにくい皮膚炎からうっ滞性皮膚炎、皮膚潰瘍と進行し
手術をしてもなかなか、治りにくくなってしまいます。
皮膚炎になる前に受診して、エコー検査を受けることをお勧めします。
9.静脈瘤があっても手術しない場合がありますか?
まず、ご自分が静脈瘤だと思っても、実際には弁不全がなく静脈瘤でない方は手術しません。
妊娠中やステロイド治療中、高齢で外出できないような方など全身状態で手術できないことが
あります。
10.脳梗塞や心臓の病気で血液がさらさらになる薬を飲んでいても手術できますか?
抗凝固療法で治療中も、ほとんどの場合、薬を続けたまま手術できます。
しかし、多少、出血が多くなり、2泊以上の入院をしていただく場合があります。
下肢の静脈瘤、むくみ、だるさ、長引く皮膚炎でお困りの方、是非ご相談下さい。